「桃太郎という作品を読んで」

桃太郎という作品は、一組の老夫婦の下に孤児が漂着するという奇跡から幕を開ける。

序盤では夫婦が無償の愛を注ぎ、桃太郎を育てあげる姿が描かれる。

しかしながら、桃太郎は育ての両親を「おじいさん、おばあさん」とあくまでも他人行儀に呼ぶ。

1親等ではなく、2親等で呼ばれ続けていた老夫婦の心中は察するに余りある。

その後は桃太郎の立志と旅立ち。仲間たちとの出会いが描かれ、鬼の征伐を見事成し遂げた桃太郎が、財宝を携え凱旋したところで物語は幕を閉じる。

この物語に着目すべき点は多いが、その中でも私は、鬼が金銀財宝を蓄蔵していた点を挙げたい。

即ち、鬼達は物々交換ではなく、貴金属を介した貨幣経済の概念を有していたと推測できる。

これまで伝承されていた鬼のイメージに一石を投じる、非常に資料価値の高い物語だと言えよう。

カズレーザー