加計学園問題に関しては、規制緩和と行政の対応の問題、国家戦略特区をめぐるコンプライアンスに関する議論など、多くの重要な論点があった。しかし、実際の野党の追及は、野党合同ヒアリングを開催し、前川氏の証言に依存する「一本足打法」で、「安倍首相自身の関与・支持があったのではないか」と問い続けるだけの不毛な国会論争を繰り広げた。

しかし、安倍政権側の対応の拙劣さもあって疑惑は収まらず内閣支持率は急落、しかし、野党の姿勢も、逆に国民からは「批判のための批判」と見られて批判の受け皿にならず、「支持政党なし」が急増するという異常な状況となった。

今回の統一教会の名称変更問題についても、立憲民主・共産の合同ヒアリングに前川氏を呼び、文科大臣時代の下村氏の関与について公開の場で話を聞くなど、加計学園問題と同様の展開になりつつある。

名称変更の経過からすると、文科省側に、何らかの政権への忖度が働いていた可能性は否定できないし、下村氏の言動からすると、直接関与していたことも考えられないわけではない。しかし、それらが直接の証拠によって明らかになる可能性が極めて低いことは、加計学園問題での安倍首相の関与の問題と同様だ。野党が、そのような追及に拘ることでは、加計学園問題と同じ轍を踏むことになりかねない。

このような「加計学園問題」を彷彿とさせるような野党側の姿勢への反発から、政権支持者側が「統一教会問題」を政治問題化すること自体への反対の「理屈」として持ち出しているのが「犯人の思う壺」論なのである。

https://news.yahoo.co.jp/byline/goharanobuo/20220812-00310051