ハリウッドは中国文化にもっと敬意を、米映画の上映禁止で中国高官

米映画業界は中国文化にもっと敬意を払うべきだと、中国の政府高官が発言した。中国はこのところ米ヒット作の上映を相次ぎ禁止している。

中国共産党中央宣伝部の孫業礼副部長は記者会見で、「米映画の品質が、中国の文化や慣習に対する敬意、観客の態度といった点で今後も改善していくことを望む」とし、「より良い映画、中国の観客の好みにより合う作品を製作する国ならどこからでも輸入する」と述べた。

中国は世界最大の映画市場で、ハリウッドの製作会社にとって重要な収入源でもある。孫氏は会見で、過去10年間で中国が輸入した映画のうち約41%が米作品で、中国での興行収入が米本国を上回るものもあると話した。

中国で米映画の上映許可が下りにくい理由に中国の政府高官が公式に言及するのはこれが初めて。ナショナリズムが高まり習近平国家主席が西側文化の影響を絶つ取り組みを進めた昨年、中国におけるハリウッド作品のシェアは過去最低まで落ち込んだ。

米中に緊張感が高まる今年も、米映画業界を取り巻く事業環境には不透明感が強い。世界興行が13億ドル(約1760億円)を超えたトム・クルーズ主演の映画「トップガン マーヴェリック」も中国ではまだ上映されていない。米軍を称賛しているとの見方や、クルーズが演じる主人公が着用している皮ジャンパーに台湾の旗「青天白日満地紅旗」が縫い込まれていることが中国のソーシャルメディア上で怒りを買っている。

発券業務プラットフォームの猫目娯楽(マオヤン・エンターテインメント)によると、中国で昨年公開された米映画は28作品、全興行収入に占めるシェアは12%だった。19年は50を超える作品が封切られ、シェアは32%に上っていた。今年はこれまでに米映画18本が輸入され、シェアは11%。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-08-18/RGTMS7DWRGG001