ジョナサンの傷害事件で「労災」認定 店長の暴力で肋骨骨折も「休むな」

第一の傷害事件:拳で殴ってあばらを骨折させる
まずは、今回どのような負傷が労災として認定されたのか、経緯から確認しよう。
被害を受けたAさんは、アシスタントマネージャー(店長候補の正社員)として、大学卒業後から、新卒でジョナサンに勤務していた。
複数の店舗で経験を積み、マネージャー(店長)への昇格のチャンスが近づいてきた矢先、2020年9月にAさんは東京タワーの近くにある芝公園店への異動を命じられた。
同店で待ち受けていたのが、店長(当時)による暴力・暴言だった。
些細なことでも店舗で「ミス」が発生すると、「死ね、殺されてえのか」などとAさんに怒鳴り、頭をはたくというパワハラが日常的に行われていた。
その中でも身体的な被害が最も大きかったのが、2021年8月の骨折事件だ。
新型コロナウイルス感染拡大にともなう緊急事態宣言によって、東京都の飲食店では酒類の提供停止が「要請」されていた。
ジョナサンでは酒類の注文を停止するために、テーブルに用意されている注文用のタブレットの設定を毎朝変更する必要があった。
ところがこの日、その担当者だったアルバイト従業員が、この設定変更を忘れてしまった。
そのまま運悪く、客が酒を注文したため、その取り下げをお詫びする時間を割き、伝票用紙を余計に発行するという「無駄」が発生してしまった。
「どれだけ無駄なことをやっているか、わかってるのか」。店長はAさんに、アルバイトの管理がなっていないとして激怒した。
ネクタイを引っ張って店舗の控え室に引きずりこむと、Aさんの右のあばらを拳で力強く殴りつけ、肋骨を折った。
Aさんは恐怖のあまり涙が止まらなくなり、痛みすら感じられないまま、当日は22時まで働き続けたという。
Aさんは帰宅後にようやく激しい痛みに気付き、翌日整形外科を受診して、骨折が発覚した。
ところが2日間休んだだけで、Aさんは痛み止めの薬を服用しながら、サポーターを巻いて勤務を続けた。
Aさんは当時、恐怖で労災保険の申請どころか、誰かに相談することすらできなかったという。

第二の傷害事件:狭い冷蔵室の中で足を蹴って転倒させ全身打撲
骨折事件からわずか2ヶ月後、今回労災が認められることになる、もう一件の重大な傷害事件が発生した。こちらの症状は「全身打撲」である。
2021年10月、アルバイト従業員が宅配の注文を表示する端末の設定ミスをしていたため、Aさんが指導した。
その後にAさんが店舗内の冷蔵室で配送品の片づけ作業をしていたところ、アルバイトへの指導方法が悪いとして、店長がAさんの左足の太ももを蹴った。
Aさんはその場に倒れこみ、狭い室内のため、腰と肩を強くぶつけた。痛みのためにしばらく立てず、当日は足を引きずりながら勤務を続けることとなった。
Aさんは翌日、もともと休日だったため病院を受診し、両肩、左太もも、腰の「打撲傷」と診断された。
痛さがひかないため店長に電話をかけ、「明日休ませてください」とお願いをした。
ところがAさんによると、店長は「お前がマネジャーだったら骨折しても休むのか。松葉杖ついてでも来るのが責任だ」と発言したという。
すかいらーくが総合サポートユニオンに対して開示した調査結果によれば、店長はこの発言については否定しているとのことだ。
Aさんに出勤を指示したわけではなく、かつて他のジョナサンの店長が骨折した際に、松葉杖をついて出勤したという過去のエピソードを話しただけだという。
しかし、店長の反論どおりだったとしても、重傷のAさんに休ませないプレッシャーを与えるという意味では同じことではないだろうか。

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