https://www.jetro.go.jp/biznews/2022/08/dddf53a8b8378e0a.html

合意した法案要旨によると、気候変動対策や公的医療保険の延長など4,370億ドルの歳出と、15%の最低法人税率設定や政府による薬価交渉などメディケア改革実施、
内国歳入庁の税務執行強化などによる7,390億ドルの歳入から成り、今後10年間で3,000億ドル以上の財政赤字削減効果があるとしている。

法案は共和党からの支持を得ておらず、上院では議事妨害(フィリバスター)を回避するため、「財政調整措置」(注)を使って民主党議員票のみの可決に持ち込んだ。
そのためには、歳出、歳入、財政赤字の変更と無関係な内容が含まれていないか、上院の議事運営専門家の審査を経なければならない。
その結果、製薬企業が民間保険市場で薬価を、インフレ幅を超えて引き上げた場合の罰則条項が削除されたが、それ以外はほぼ発表時の内容どおりとなった(CBSニュース8月6日)。

産業界からはさまざまな反応が出ているが、おおむね否定的なものが多い。
クリーンエネルギー関連の投資に対する税額控除が含まれているところには、太陽光発電や風力発電などの業界団体は法案を歓迎しているが、
自動車業界は電気自動車(EV)向けの税額控除の条件が厳格だとして遺憾を表明している(2022年8月9日記事参照)。
EUや韓国は、EV購入時の消費者向け税額控除の対象車両を北米で最終組み立てが行われたものに限っていることが、WTO協定に違反すると主張している(ロイター8月12日)。