ウィシュマさん死因判明、鑑定書に記載 代理人「不起訴は不合理」
2022/9/1 05:00

 名古屋出入国在留管理局(名古屋市)で2021年3月に死亡したスリランカ人女性ウィシュマ・サンダマリさん(当時33歳)の遺族は31日、名古屋地検の依頼で作成された鑑定書2通のうち1通に死因が記載されていたことを明らかにした。地検は殺人容疑などで告訴された当時の局長らを不起訴とした際、死因が特定できないため刑事責任を問えないとしていた。

 代理人の指宿昭一弁護士によると、死因が記載されていたのは22年2月28日付の鑑定書。「食思不振(食欲の低下)による脱水と低栄養」に、血液中のリンパ球が異常となる「血球貧食症候群」が合併した多臓器不全と記されていた。

 指宿弁護士は「低栄養と脱水が死因と断定的に書いてあって驚いた。不起訴処分にしたのは不合理だ」と地検の判断を批判。ウィシュマさんの妹2人も「不信感しかない」と述べた。

 開示された捜査記録の中に含まれていた21年4月16日付の鑑定書には、死因の記載がなかったという。遺族は不起訴処分を不服として、検察審査会に審査を申し立てているほか、国に損害賠償を求めて訴訟を起こしている。

https://mainichi.jp/articles/20220901/k00/00m/040/010000c