篠山チルドレンズミュージアム(兵庫県丹波篠山市小田中)のワークショップ「ナンニナルday(デイ)!」で、子どもたちが高さ4メートルの木製ジャングルジム作りにチャレンジした。設計したのは、「中井工務店」(同市本郷)会長の1級建築士、中井章博さん(73)。建設を学ぶ地元の高校3年生たちも作業を手伝い、大人が乗ってもビクともしない頑丈な遊具を伝統工法で完成させた。(那谷享平)
ナンニナルデイは同ミュージアムが本年度から始めた月1回のワークショップ。仕事と職業をテーマに毎回、地元の職人や作家らを講師に招き、子どもたちに手仕事を教える。
中井さんは8、9月の講師を依頼され、9月分の題材にしたのが、木製ジャングルジムだった。底面3・6メートル四方、高さ4メートルで、柱100本、横木100本を組み合わせる。子どもたちの安全を考え、くぎを使わない伝統的な「貫(ぬき)工法」を採用。柱の穴に通した横木の「貫」を、木のくさびで固定する。
材木の加工には、中井さんが外部講師を務める篠山産業高校から3年生有志が協力。平塚蓮さん(18)▽細見琉偉(るい)さん(17)▽中澤巧さん(17)▽田中勇弥さん(17)-の4人が夏休み中、中井さんの工場に2週間通い、作業に当たった。
9月4日のワークショップには、子どもら約20人が参加。遊具を組み立てては登り、登っては組み立て…。中井さんや高校生たちの助けを借りながら、格子状に組んだ材木に木づちでくさびを打ち込んでいった。完成すると、みんなで頂上に集まり、記念撮影した。
篠山小学校4年、男児(10)は「絶対壊れると思ったけど、大人も乗れるくらい丈夫だった」と楽しげ。ブロックで多彩な構造物を建設できる人気ゲーム「マインクラフト」が好きだが、母親(46)は「バーチャルにない楽しさを味わえたようですごく良かった」と話した。
それぞれ建設関係の学校に進学する高校生たちも、完成品に充実の表情。中澤さんは「子どもたちと触れ合い、教える難しさを感じた。遊具で遊ぶのは久しぶりで自分も楽しかった」。田中さんは「授業で作る構造物の2倍はある大きさ。乗っても全然揺れず、伝統的な技術はすごいと思った」と語った。
ジャングルジムは解体し、中井さんが回収。今後、依頼があれば有償で貸し出す。次回のナンニナルデイは10月上旬で、講師は竹細工作家を予定。
https://www.kobe-np.co.jp/news/tanba/202209/0015617445.shtml