【シンガポール=中野貴司】シンガポールのリー・シェンロン首相(70)は7日、ローレンス・ウォン財務相(39)が「次世代の新しいリーダー」になると発表した。近く内閣改造を実施し、ウォン氏を副首相に引き上げたうえで、2025年までに実施する次の総選挙前後で首相職を禅譲するシナリオが有力だ。
シンガポールの次期首相レースは21年に最有力候補が辞退し、振り出しに戻っていた。
リー氏は7日のフェイスブック投稿で「ウォン氏と彼のチームが、シンガポールと国民のために最善を尽くすと確信している」と述べた。首相交代の時期には触れなかったが、禅譲に向け、近く内閣改造を実施する方針を明らかにした。
リー氏の説明によると、ウォン氏の後継確定は次世代の政治家たちによる集団的な決定で、リー氏の指名ではない。
ウォン氏は官僚出身で、リー氏の首席秘書官などを経て11年に政界入りした。20年以降、政府のタスクフォースの共同議長として新型コロナ対策を担い、一気に存在感を高めた。21年5月には重要閣僚の財務相に就き、次期首相の有力候補の1人だと目されていた。
リー氏の後継候補としては、21年4月までヘン・スイキャット副首相が最有力だとみられてきた。ただ、ヘン氏が高齢を理由に首相候補を外れると表明し、改めて後継を選ぶことになった。04年から首相を続けるリー氏は2月に70歳になった。ウォン氏が第4代首相に就けば、若返りが一気に進むことになる。
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