軽貨物自動車配送、とりわけ独立起業し、個人事業主として働く人が注目されている。

 理由は、トラックドライバーが人手不足に直面する中、ECの拡大などによりニーズが高まる宅配における、ラストワンマイル配送の担い手として期待されているからである。

 一方、夢と希望を抱いて、個人事業主ドライバーとして独立起業したものの、思い描いていた理想とは異なる現状に直面し、サラリーマンに戻る人も少なくない。

「数年間、軽自動車持ち込みで、ヤマト運輸の下請けとして宅配を行っていました。コンスタントに月40万円以上は稼いでいましたけど、軽自動車のローンや維持費、自分自身の保険料などを考えると、『これってサラリーマンの方が楽なんじゃないか?』と思っちゃったんですよね……」

 現在は、ある運送会社で営業所長を務めている知人は、軽貨物配送を行う個人事業主として独立起業するも、再びサラリーマンへと戻った理由を、このように振り返る。

 マイナビが実施した「2021年版 独立・開業に対する意識調査」では、独立起業に興味があると答えた人は、なんと4割に達する。そして、「独立・開業をするときに何を一番重視しますか?」という質問では、1位が「自分のペースで働ける・自分の時間を持てること」、以下、「生涯に渡って働けること」「人間関係のストレスがなく働けること」と続く。

 筆者(坂田良平、物流ジャーナリスト)自身も、約10年前に独立起業し、個人事業主として活動するひとりである。自身の経験から言っても、「自分のペースで働ける」「人間関係のストレスがなくなる」は、独立起業に対する認識が、少々甘いと思う。

「他の職業のことはよく分かりませんけど、少なくとも軽貨物配送に関しては、親請けに振り回されますし、サラリーマンとは違うストレスにさらされますよね」と、知人は振り返っている。

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