金融庁は国内で仕組み債を供給する外資系投資銀行の調査に乗り出す計画だ。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。仕組み債は商品性が複雑で、個人投資家への説明不足などが問題となっており、金融当局の動きは、商品の取り締まりが加速している兆候と言えそうだ。

  関係者らが匿名を条件に明らかにしたところによると、金融庁はこうした商品の主要な発行体の全てが売り手となる国内証券などに十分な情報を開示した上で、個人投資家に供給されているかどうかをチェックする。実質的な販売手数料についても調べるという。

 証券取引等監視委員会の関係者は、必要があれば外資系証券を検査する可能性もあると述べた。金融庁の担当者はコメントを控えるとしている。

  仕組み債を販売する銀行や証券業界では、三井住友銀行が7月から販売を全面的に停止。みずほフィナンシャルグループは一部の取り扱い停止を決めた。SMBC日興証券では8月から個人向けの積極的な勧誘を控えている。大和証券グループ本社も販売に基準を設けるなどの対応策を取っている。

  仕組み債は、一般的な債券にデリバティブ(金融派生商品)を組み込むことで、満期や利子、償還金額を比較的自由に設計できる金融商品。さまざまな原資産やインデックスのパフォーマンスに関連付けられ、市場の大幅な変動などがリスクになる。元本保証だと思い込んだ顧客から、相場下落で大幅に目減りしたなどの苦情が相次いでいた。

  金融庁は8月31日に公表した2022事務年度(22年7月ー23年6月)の金融行政方針で、金融機関が顧客の資産形成に資する方法で商品を組成、販売、管理する体制を整えているかどうか監視する方針を示していた。

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2022-09-15/RI8HLXDWRGG001