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高齢化進む受刑者のリアル、認知症疑いの人も 脳トレ、筋トレ…試行錯誤の長崎刑務所

「じゃあ、リズムに合わせて順番に3ずつ足していきましょう」

「さん」「ろく」「きゅう」……「ななじゅうに」「はちじゅう。あれっ」

受刑者8人が輪になって、手拍子と足踏みにあわせながら、計算をするゲームをしていた。最初は調子よく進んでいたが、数が多くなるにつれてリズムが乱れていく。

最後は腕に入れ墨の入った白髪交じりの男性が計算を間違えてしまった。

長崎県諫早市にある長崎刑務所「第14工場」。九州一円の刑務所から集められた高齢受刑者専用の刑務作業場だ。

なかには認知機能が低下した受刑者もいる。

「いちに、いちに」

6月下旬の午前8時、居室棟から2列になり、ランニングシャツと短パン姿の26人が行進してきた。

腰が曲がっている人もいて、足並みがそろっていない。

年齢のこともあり、みな何かしらの持病がある。作業の前に一人一人薬をのみ、のみ残しがないか刑務官が口の中を確認する。