景気は良くないと卸業者は話す。昨年は南極でクジラを取らなかったので、ミンククジラの肉も少なかったという。
もし鯨肉が足りないのなら、価格は上がるのではないか。佐久間さんによると、そうはならないそうだ。「実際のところ、ほとんどの日本人が鯨肉を食べない」と佐久間さんは話す。「消費量は長年減少し続けて」いて、「鯨肉の量が減ったとしても価格は上がらない」のだという。
佐久間さんの調査によると、2015年の日本の鯨肉消費は1人当たり、たった30グラムだった。
もしクジラを食べることが日本文化の大切な一部だとしたら、なぜ食べる人がそんなに少ないのか。

そして再び、最初の問いに戻る。なぜ日本は捕鯨を続けるのか。
私は最近、日本政府高官の内輪の懇談会に出席した。今季の捕鯨船派遣はすでに発表されていた。なぜ自分が捕鯨の必要性に納得できないのか、かいつまんで話し、答えを求めた。答えは驚くほど率直だった。
「私も同じ意見だ」と高官は言う。「南極海の捕鯨は日本文化の一部ではない。国際的なイメージがとても良くないし、鯨肉に対する商業的な需要もない。あと10年もすれば、遠洋捕鯨は日本から姿を消すだろう」。
「それならなぜ今止めないのですか」。同席していた別の記者が尋ねた。
高官は「今は止めにくい、重要な政治的理由がある」と述べただけで、それ以上語らなかった。

https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-35529672