ウクライナ東部を実効支配する親ロシア派武装勢力の「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」のそれぞれの幹部は20日、ロシアへの編入の是非を問う住民投票を23~27日に実施すると明らかにした。ロシア軍が支配する南部ヘルソン州と、ザポロジエ州の支配地域でも23~27日に住民投票を実施すると現地の幹部が公表した。

ロシア統制下で編入が賛成多数となるのは確実な情勢だ。タス通信によるとロシアのラブロフ外相は20日、住民投票の実施は「(親ロ派が支配する)各地の住民が決定すべきだ」と述べた。

ロシアへの編入が決まれば、ウクライナの反攻をロシア領土への攻撃とみなし、核兵器を含む大量破壊兵器を使用する根拠になりうる。ロシア政府が2014年に承認した軍事ドクトリンは核兵器の使用要件を「国家の存在が脅威にさらされた時」と明記し、大統領が決定すると定める。

メドベージェフ安全保障会議副議長(前大統領)は20日、編入すればロシアは「全ての防衛力を使える」と主張した。

ロシアは2014年にクリミア半島を一方的に併合した際にも住民投票を実施した。ロシア軍による統制下で圧倒的多数の賛成票を得たことを併合の根拠とし、国際社会から非難を浴びた。プーチン大統領は併合後、クリミアとロシア本土を結ぶ橋を建設するなど支配を強化してきた。

ウクライナ4州の支配地域でも通貨のロシア・ルーブルへの切り替えを進めるなど、ロシアは支配の動きを強めている。住民投票で編入が決まれば、ロシア化が一段と加速するとみられる。

住民投票を巡っては、ドネツク人民共和国の幹部が8月「(ルガンスク、ドネツク州をあわせた)ドネツク全域が解放され次第、直ちに日程が公表される」と述べていた。ロシアは2月、両共和国の国家承認を済ませた。
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