「ブレインフード」とも呼ばれている大豆

「納豆が脳にも体にもいい」ことは、医学・栄養学の研究者の衆目一致するところです。

良質の植物性タンパク質を、最も効果的にとれる食材だからです。

しかも、値段が安い。スーパーに行けば、3連パックが100円ほどで手に入ります。納豆は、最安値の“サプリメント”といってもいいでしょう。

一般に、高齢者は、体重1キロ当たり、1日に1.2~1.5グラム程度のタンパク質をとるのが望ましいとされています。

体重60キロの人で70~90グラムです。これは、肉70~90グラムではなく、純粋のタンパク質の重量ですから、摂取するのはなかなか大変です。

朝はタマゴ、昼は魚、夜は肉くらいのつもりで、タンパク質性の食材を食べて、初めて摂取できる量です。

そこで、大いに活用したいのが、納豆などの大豆を素材とする食品なのです。

大豆食品は、脳にとっても、強い味方です。

近年、大豆は、脳の働きを活発にする点でも注目され、「ブレインフード」とも呼ばれています。

脳内では、神経細胞(ニューロン)から神経伝達物質が分泌され、刺激や情報が別の神経細胞へ伝わっています。

脳が活発に働いている状態とは、「神経伝達物質の量が多くなり、シナプス間を活発に行き来している状態」といっていいのですが、大豆は、その神経伝達物質の重要な原料「レシチン」をたっぷり含んでいるのです。

レシチンは、脳内でアセチルコリンという神経伝達物質に変化します。

アセチルコリンが不足すると、脳内の情報伝達がうまくいかなくなります。

認知症患者の人には、アセチルコリン不足の人が多いことがわかっています。

大豆を素材とする食品、納豆や豆腐、豆乳、みそ、きな粉などを食べれば、そのレシチンをたっぷり摂取できます。

中でも、納豆は、大豆の栄養をほぼそのままの形で摂取できる優秀な食材なのです。