>>34
政府は、内閣に行政権があり、国葬は閣議決定で実施できると主張する。しかし、国政の重要事項に関しては国権の最高機関である国会で審議するのが基本だ。現在の憲法の構造は、重要事項は国会で審議するのが適切だというものだ。今回、国会で審議できないほどの緊急性があったとは思えない。
 国葬には多くの費用がかかるため、財政民主主義の観点からも国会で審議すべきだった。国葬の費用は予備費から拠出するが、近年、予備費が非常に増えている。後に国会で承認を求めるとはいえ、行政府の裁量で使える予備費を増やすと財政民主主義が形骸化してしまう。そうしたことが進む中で今回のようなことが起きたため、多くの国民は国会軽視も甚だしいと考えているのではないか。

日本国憲法は、基本は立法権が上位という考え方だ。立法権が決めた線に沿って行政権が実施する、ということだ。それなのに政府は従来、行政権が何でも決められるような説明や運用をして、戦前の体制が事実上、維持されている。憲法が変わったにもかかわらず、立法権中心主義が十分根付いていない。できるだけ国会で審議しなければ、例えば軍事や防衛などの問題についても、予備費を使って国会の承認なしに閣議決定で実施することにつながりかねない。行政権の暴走は戦前起きたことだ。

https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20220921/pol/00m/010/004000c