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再犯防止対策 出所者への支援、実効性高めよ

公明党は8日、古川禎久法相に対し、再犯防止対策の充実・強化を求める提言を申し入れた。

刑法犯の検挙者数は減少傾向にある一方、再犯者が占める割合は上昇が続き、2020年には過去最悪の49.1%となった。刑務所から出た後、再び犯罪に走ることがないよう手だてを講じる必要がある。

提言でまず取り上げたのは、刑務所から満期釈放で出所した人に対する支援の強化だ。

釈放後、2年以内に刑務所に戻る割合を比べると、更正が期待できるなどの理由で刑期を残して仮釈放された人は1割だが、満期出所者は2割に上る。
仮釈放の場合は、出所後に保護観察官らによる継続的な指導・監督を受ける。これに対して満期出所者には、こうしたサポートが手薄なのが現状だ。

このため出所しても住まいや仕事が確保できずに困窮し、再び犯罪に至るという悪循環に陥りやすいことが指摘されている。

そこで提言では、更正保護施設による訪問支援事業の拡充に加え、出所者の社会復帰を支える保護司への支援強化などを訴えた。出所者が地域の中で安定した生活を営めるよう「息の長い支援」を行う上で重要な取り組みだ。
このほか提言では、性犯罪や暴力事件で刑務所に入り、釈放された人への対応も要請した。具体的には、再犯防止のためのプログラムを行う民間団体への委託費を上乗せ支給することや、さまざまな困難を抱える出所者を支援する地方自治体が再犯防止策を推進できるよう財政支援などを求めた。

15日に閉幕した通常国会では、刑罰の懲役刑と禁固刑を廃止し「拘禁刑」に一本化する改正刑法が成立した。受刑者の特性に合った刑務作業や指導が柔軟にできる体制を整えることで矯正効果を向上させ、出所後の再犯防止につなげることが目的だ。

これに加えて出所後の支援も手厚くすることで、再犯防止策の実効性を一層高めたい。