すなわち、後でりっぱな建物をたてるためには、リュクルゴスがスパルタでしたように、まず敷地を掃き清めて一切の古い建築材料を遠ざけなければならなかったはずなのに、ひとはたえずつくろってばかりいたのである。

ジャン=ジャック・ルソー
ディジョンのアカデミーによって提出された問題「人々の間における不平等の起原はなんであるか、そしてそれは自然法によって容認されるか」に関する論文第二部
岩波文庫人間不平等起原論p.110


立法という仕事を困難にするのは、うち建てなければならぬものよりもむしろ、破壊しなければならぬものである。そして、その成功がきわめてまれなのは、社会欲求に結びついた自然の単純さを発見できないからである。事実、これらの条件がすべてあつまるなどということは、容易なことでない。だから、うまく組みたてられた国家はめったにない。

ジャン=ジャック・ルソー
社会契約論または政治的権利の諸原理第二編第十章人民について(つづき)
岩波文庫社会契約論p.76