要するにルソーは、社会主義がくどくどと進歩のたびにくりかえし述べることを、端的に明言しているにすぎない。すなわち、社会の秩序は不完全であり、そこには何かが欠けているというのである。ルソーの誤りは、社会を否定したことではない。それはありえない。ルソーの誤りは、自分の論法を最後まで貫徹できなかったことにある。社会と人間と神を同時に否定しきれなかったことにある。われわれはそれを以下で明らかにしよう。

ピエール・ジョゼフ・プルードン
貧困の哲学第八章矛盾の法則のもとでの人間の責任と神の責任──神の摂理の問題の解決
平凡社ライブラリー貧困の哲学(上)p.482