現時点で、Microsoft(マイクロソフト)とSony(ソニー)というゲーム界の2大ブランドにとって、次に投資が必要なハードウェアが何なのかについては、明らかだと思う。

・「Nintendo Switch(ニンテンドー・スイッチ)」は、豊富なゲームライブラリだけでなく、その携帯性により、広範囲な大ヒットを記録している

・Valve(バルブ)は、PCのライブラリを携帯機に持ち込める「Steam Deck(スチーム・デック)」の需要に追いつけていない

・Verizon(ベライゾン)、Razor(レイザー)、Qualcomm(クアルコム)から発表された、クラウドゲーム・ストリーミング、ローカルプレイ、そしてゲームコンソール機からのストリーミングプレイに対応した新しいデバイスのように、サードパーティも参入し始めている

最後の1つは、発表の最後に実はXboxのロゴが登場し、このデバイスにXboxのクラウドゲームが登場する可能性があることを暗示している。しかし、ソニーとマイクロソフト、つまりXboxとPlayStationのブランドは、独自の携帯ゲーム機について考え始めるのが賢明だと思う。私が思うに、これは「もし」そうなったらという問題ではなく「いつ」そうなるかという問題なのだ。どちらが一番乗りするのか? 私はこう考えている。



「PSP」と「PS Vita(PSヴィータ)」で携帯型ハードウェアを作った経験があるのはソニーだが、携帯ゲーム機が再び盛り上がってきている昨今を考えると、彼らは時代を先取りしていたようだ。

しかし、仮にそうであったとしても、そしてソニーがこの分野で経験を積んでいたとしても、今がそのときなのかどうか、私は疑問だ。ソニーの次の大きなハードウェア投資はすでに起こっており、それは「PSVR 2」なわけだが、これは潜在的な携帯機よりもはるかに限られたオーディエンスしかいない。ただそれでも、彼らはその投資を続けている。
--{「Xbox Series M」と呼ばれるであろう携帯ゲーム機}--
さらに、同社はすでに需要に見合うだけのPS5を生産できていない。その上に別のデバイスを追加するというのは、やりすぎだ。特にSteam Deckを通じて多くのPC対応PlayStationソフトが購入できるようになれば、なおさらだ。また、このようなデバイスの大きな部分を占めるクラウドに関しても、マイクロソフトほどは投資していない。



私には、マイクロソフトならこの先数年で携帯ゲーム機の開発に着手する可能性があるように感じられる。「Xbox Series M」とでも呼ばれるであろう、Xboxの携帯モデルは、間違いなくXboxのクラウドゲーミングタイトルをプレイするためのデバイスになだろう。しかし、マイクロソフトには、 ValveがSteam Deckでやっているのと同じことにもっと傾倒して欲しいと思っている。やはりゲームは、ローカルでプレイするのが最終的にはベストな体験であり、クラウドゲーミングはまだ道半ばであるためだ。

マイクロソフトは異なる価格で、異なる顧客向けに、異なる技術スペックのXbox Series XとSをそれぞれ提供しているが、このようなハードウェアを新たに開発する可能性が最も高いと思われる。Xbox Game PassがSwitchに導入される可能性は低いので、マイクロソフトはSwitchとSteam Deckに共通するこの種の熱狂を利用できる独自のデバイスを作りたいと考えるだろう。確かに、携帯電話やiPad、そのような新しいデバイスなど、通常のモバイルデバイスでもXboxのゲームは遊べるが、モバイル専用のXboxだとどうだろうか? 特に、ソニーがVRとPS5の生産に追われているとマイクロソフトが見て、先にそこに到達することができれば、ヒットしないわけがない。

もちろん、両社ともいずれ携帯機を作ることになるかもしれないが、私にはここ数年ですぐにそうなるとは思えない。モバイルゲーム(スマホゲームに限らず)は現在、大規模でさらに大きくなっており、これらを作る企業は、その人気を反映した専用のハードウェアを開発するだろう。

(forbes.com 原文)
編集=Akihito Mizukoshi

https://forbesjapan.com/articles/detail/50810