日本唯一のロシア正教女子修道院、ウクライナ侵攻に複雑な思い 「宗教に国籍や民族は関係ない」

 人口の8割近くが正教徒であるロシアで教会を率いるロシア正教会。東方正教会のうち最大の信者数を誇る。トップであるキリル総主教はロシアによるウクライナ侵攻を支持。その発言が西側やウクライナで強い批判を呼んだ。日本とは縁遠い同正教会だが、実は東京都内に2カ所の教会、千葉県山武市松尾町に女子修道院を持ち、独自の宗教活動を続けている。正教会の女子修道院は日本でここだけ。ウクライナ出身の修道女もいて、侵攻に対する思いは複雑だ。

 ▽警察が巡回
 松尾町の修道院には現在、ロシア人の修道女2人と、日本人の修道女見習い1人が在籍。朝4時から始まる1日数回の祈りや修道院の維持管理、敷地内での農作業、月1回程度の司祭による奉神礼の準備のほか、信者らが修道院に宿泊することもあり、その世話などで日々忙しい仕事に追われている。
 今年2月のウクライナ侵攻後、地元の警察が巡回して様子を見に来るようになった。1日4回程度、修道院を訪れ、何も変わりがないか修道女に声をかけることもある。
 修道女のタチアア・グリシコ(洗礼名クセーニャ)さん(61)は「警察は、侵攻に反発する人が修道院に嫌がらせをすることを警戒しているようだが、ありがたいことに今のところは何も起きていない」と話す。

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