「株価至上主義が、すべてをおかしくしている」

9月初旬に日本電産社長を辞任した関潤氏は、在職中、周囲にそう語っていたという。

日本電産創業者の永守重信氏(現会長)が自社の株価を非常に気にする経営者であることは、自他共に認めているところだ。株式投資は16歳で始めたといい、著書『永守流 経営とお金の原則』には、〈私ほど自社の株価や時価総額について語る企業経営者はいないかもしれない。つねに自社の株価の動きに目配りし、1日に10回くらいはチェックする〉と記している。

幹部会議や役員宛のメールでは、「株価は社長の通信簿」「時価総額ランキングこそが企業価値を決める最も重要な指標」と繰り返し、時価総額ランキングで昨年は国内8位まで上がったのに今年は25位に転落したと落胆してみせた。同じ京都の村田製作所など永守氏がライバルと見なす企業の株価と自社の株を比較して一喜一憂する。それがカリスマ経営者・永守氏の実像だ。

永守氏の「株価至上主義」を象徴するこんな出来事が、今年4月下旬にあった。車載事業本部の関係者が話す。

https://toyokeizai.net/articles/-/624352