メスだけ生む「超メス」 近大が存在証明、キャビア生産効率化に期待
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 チョウザメの魚卵・キャビアが身近な食材になるかもしれない――。近畿大学水産研究所新宮実験場(和歌山県新宮市)は、キャビアをもつメスだけを生む「超メス」の存在を証明したと発表した。その検査技術を独自に開発した。近大は「キャビア生産の効率化ができる」と期待している。

 チョウザメは、生殖腺が発達するまで外見からメスとオスを判別できない。このため、キャビアの生産では、性別が分かるまで数年間はオスも飼育するしかなく、効率の悪さが課題とされてきた。

 チョウザメの性を決める染色体はZとWがあり、オスは「ZZ」、メスは「ZW」であることが証明されている。このほか、Wだけを持つ超メス「WW」も存在すると考えられてきたが、確認されていなかった。超メスの子どもは必ずメスになるため、超メスを人為的に作り出せれば、キャビア生産の効率化につながると有望視されてきた。

 同実験場の木南竜平助教や稻野俊直准教授の研究チームは今回、精子に紫外線をあて、温度などを工夫した受精卵などを独自開発したPCR検査法で染色体を判定したところ超メスが確認できたという。

 この検査技術で超メスを選んで育てれば、現在のように、個体の半数を占めるオスを飼育する時間と費用を大きく削減でき、キャビアの効率的な生産につながるとみられている。

 同実験場では2017年、チョウザメの稚魚に女性ホルモンを混ぜた配合飼料を与え、メス化させる技術を開発するなど「全メス化」を目指す試みを続けている。