「授業が難しすぎる」学生からの抗議で著名な有機化学教授がニューヨーク大をクビに


 秋学期の契約更新を見送られたのは、プリンストン大学を定年で退任後、ニューヨーク大学名誉教授に就任したMaitland Jones有機化学教授(84)。有力な教科書編纂の実績もある国際的に著名な教授で、2017年には「ニューヨーク大学でもっともクールな教授8人」にも選ばれていたベテラン中のベテランです(「40年近くで225もの論文発表に関わった」と当時の紹介文にはある)。

 春学期にコロナのリモート授業が終わって対面授業が再開したら、テストの点が伸び悩む学生が目立つようになり、「教え方が悪いせいだ」と授業の見直しを求める署名運動が沸き起こり、受け持ちの学生350人中82人が署名。教授は反論したんですが、学長側の判断で契約が打ち切られてしまったのです。

 さらに教授がつけたABC評価の修正を申し出たほか、成績が悪すぎて本来であれば医者の道を断念せざるをえない学生についても、最初から授業を取らなかったことにしてもいいと言い出すなど、たいへんな気の使いよう。解任前に化学課程学部長からJones教授に届いたメールには、「(署名した)学生および学費支払主に手を差し伸べる措置」と説明がありました。「学生は金を払うカスタマー」という昨今のメンタリティが浮き彫りになった形です。
https://www.gizmodo.jp/2022/10/nyu-professor-fired-by-student-signature-drive.html