739 番組の途中ですがアフィサイトへの転載は禁止です (ワッチョイW 5e56-u6Rf) 2022/11/08(火) 19:02:12.09 ID:cwaiwmjM0
>> 624
高畑勲は周縁細部は徹底してリアルだが、ど真ん中でとんでもない大嘘を吐く
しかし観客は、周辺部の高度なリアリティーにだまされて、ど真ん中の虚構ファンタジーが虚構ファンタジーであると気付かない
たとえば、アニメ映画火垂るの墓について
宮崎駿は、あんなのは絶対あり得ない、もしも海軍の艦長級にまでなったその家族が空襲被害で焼け出され母親が死んで子だけ残されたとしたら、陸に上がった海軍現役退役誰かが必ず手を差し伸べて子を保護支援するはず、軍には強力な仲間意識がある、と言っている
原作者の野坂昭如は、火垂るの墓ビデオソフト化広告に寄稿して、実際の自分はアニメ映画で描かれたような兄ではなかった、息も絶え絶えでまるで動かない妹の隣で自分は平然と食べ物をがっついた、と述べている
高畑自身は、アニメ映画火垂るの墓に反戦メッセージなど一切含んでいない、あれは自らすすんで社会との関わりを断ち切って兄妹ふたりだけの楽園をつくろうとしたらどうなるか、という現代のお伽話だ、としている
つまり、アニメ映画火垂るの墓において戦争は空襲はあくまでも後景借景でしかなく、他のものにいくらでも置き換え可能な、おとぎ話ファンタジー
高畑が凄まじいのは、まだ「引きこもり」という用語が日本社会に存在しなかった、ノイローゼなどの言葉で片付けられていた1980年代においていち早く、社会との関わりを自ら断ち切って暮らそうとする、という引きこもりのありさまを描いてみせたことだ
アニメ映画火垂るの墓は反戦アニメのようで反戦アニメではなく、ファンタジーのようでファンタジーではなく、時代の先の先を読み切ってつくられた極めて最新の現代的映画である

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