■トランスジェンダー社員に上司「戸籍の性別変更を」…「SOGIハラ」でうつ病、労災認定

会社員は戸籍上の性は男性で、性自認は女性。2006年に神奈川県内の大手製造会社に就職し、17年に職場で性自認を公表した。会社員が情報開示請求で入手した労災認定を巡る調査書によると、会社側は会社員を女性として扱い、敬称を「さん」とするよう従業員に周知した。

 その後、指導役だった上司との関係が悪化。18年4月、別の管理職を交えた話し合いの場で、会社員が上司から「彼」と呼ばれたことに抗議すると、上司は「戸籍上の性別変更をしてから言いなさい」と発言した。「女性らしく見られたいなら、こまやかな心遣いが必要」とも言われた。この席で、上司は会社員のことを何度も「彼」と呼び、数日後の話し合いでも「くん」の敬称で5回呼んだという。

 会社員はその後、体調を崩した。医療機関で睡眠障害や、うつ病と診断され、18年12月から休職した。

 労基署はこうした上司の発言を「性自認に関する侮辱的な言動。本人の人格を否定する精神的攻撃で、執拗(しつよう)に行われた」と指摘。会社員に強い心理的な負荷がかかり、うつ病を発症したとして、労災認定した。会社員は21年9月に復職している。

 読売新聞の取材に会社員は、自身の性自認に違和感を覚え、髪を伸ばすようになると、上司から「髪を切れば」と言われ、苦痛になっていったことも明かした。会社員は「上司から暴言があった時は存在を分かってもらえないことがつらく、その場で泣くほどだった。性自認は自分でコントロールできるものではなく、職場の理解が不可欠だ」と訴えた。

https://news.yahoo.co.jp/articles/235a54f0b720bab7903449190badcc739acf852a
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