東大など、自殺者では非自殺死亡者より眼房水中のリチウム濃度が低いことを解明
https://www.nikkei.com/article/DGXZRSP643921_R11C22A1000000/
発表日:2022年11月11日

自殺者では非自殺死亡者よりリチウム濃度が低い

——眼房水解析——

1. 発表者 :

安藤 俊太郎(東京大学 大学院医学系研究科 臨床神経精神医学講座/医学部附属病院 精神神経科 准教授)

鈴木 秀人 (東京都監察医務院 前院長)

松川 岳久 (順天堂大学 医学部 衛生学・公衆衛生学講座 准教授)

西田 淳志 (東京都医学総合研究所 社会健康医学研究センター センター長)

宇佐美 慧 (東京大学 大学院教育学研究科 教育心理学講座 准教授)

村松 尚範 (東京都監察医務院 医長)

2. 発表のポイント :

◆自殺者では非自殺死亡者より眼房水中のリチウム濃度が低いことが示されました。いずれの群にも気分安定薬である炭酸リチウム服用者はおらず、体内微量リチウムが自殺に関連していることが示唆されました。

◆眼房水中リチウム濃度が有意な死後変化をしないことを確認し、複数の自殺者と非自殺死亡者の眼房水中リチウム濃度の比較から体内微量リチウム濃度の違いが自殺と関連することが示されたことは、世界で初めての成果です。

◆今後、自殺者において体内リチウム濃度が低下するメカニズムの解明が望まれます。また、炭酸リチウムは中毒や副作用のために過小利用される傾向がありますが、微量であればその問題も少ないと期待され、微量リチウムの自殺予防効果の検証が進むことが望まれます。