https://news.yahoo.co.jp/articles/03042247f9ca5b7b2fa46cbbea8a261cd1291b54
富士通・堤浩幸 世界のあらゆる企業で仕事をして気付いた“日本企業との違い"とは?
笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。11月19日(土)の放送は、前回に引き続き、富士通株式会社 執行役員SEVP JapanリージョンCEOの堤浩幸(つつみ・ひろゆき)さんをゲストに迎え、お届けしました。
堤さんは、1962年生まれ、山梨県出身。慶應義塾大学理工学部卒、米スタンフォード大学エグゼクティブプログラム修了。1985年日本電気株式会社入社。2009年シスコシステムズ合同会社上席副社長就任、2015年サムスン電子ジャパン株式会社代表取締役最高経営責任者就任、2017 年株式会社フィリップス・ジャパン代表取締役社長就任を経て、2022年より現職に就いています。
◆現職に就いて感じたことは?
これまで海外の仕事をマネジメントしてきた堤さんにとって、2022年に現職に就いた際、「(仕事のやり方で)同じ部分と違う部分があった。一番の違いは、性善主義・性悪主義という考え方」と言います。
近年では、新型コロナウイルスの感染拡大など想定外のことが起こっていますが、「性悪主義は、(想定外のことが)起こる前提ですべてのルール決めをする。逆に性善主義は“何でもやってみる"。そこで何か起こったら、そのときに考えようという考え方。どちらかというと、日本は性善主義」と断言します。
さらに、日本の企業をはじめ、欧州系、アジア系、米国系とあらゆる企業でマネジメント経験してきたなかで、「アメリカの会社も性善主義のほうが強いが、アジア系の会社は性悪主義のほうが強いかもしれない。ヨーロッパ系の会社はちょうど中間ぐらい」と実感を語ります。
◆これからの時代に求められる人とは?
日本のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推し進めている富士通ですが、社内のDXについては「できていないところが多々ある」と現状を説明。海外も含めるとおよそ13万人の従業員を抱えるなかで、「1つのシステムや生産性の高いものを取り入れていくのはなかなかのチャレンジですし、マーケットやお客さまの志向もものすごく変わっていきますから“作ればオーケー"ではなく、一緒に変化していかなくてはならない。ですから、常にチャレンジ精神はある」と前を向きます。
また、これから求められる人材については、「IT業界だけに限らず“創意工夫できて、夢を語り、夢をつくれる人"」と言います。
「私はSF思考(SF的な発想をもとに、未来を描き出す考え方)を非常に大事にしています。将来と現実との線を引いて、そこにあるギャップをどのように埋めていくかを考える。人生は、会社で言うところの中期計画や戦略と同じで、自分の将来に向けてやるべきことを考えたときに、少なからずあるギャップをいかに埋めていくか。さらに、SF思考のなかで新しいものをつくるには、どのようにチャレンジしていけば良いか、などと具体的に実行できる人がもっといてほしい」と力説します。
また、これからの時代に求められる“リーダー像"についても言及。「引っ張っていくことも大事ですけど、チームに押し上げてもらうようなリーダー像があってもいいのかなと思う。チームに押し上げられるほうが楽ですし、チーム力で押し上げられると、パワーをすごく感じる。なので、その両面のバランス感覚を持って会社を経営する、あるいは世界をリードする。そういうリーダーシップが、今後はさらに求められるのでは」と読み解きます。
◆不安な世の中を生き抜いていくためのマインドとは?
堤さんが常々意識しているのは“何事もポジティブに考えること"。ネガティブに捉えてしまうと「特にこういうご時世ですから、どうしてもネガティブなスパイラルに陥ってしまうので、想定外のことも考えて想定内のものにしておく。それでも、考えられない事態もたくさん起こりますが、自分のマインドセッティングのなかで、そういう状況になったときにどう対処したら良いかも、ある程度考えておくことが大事」と言います。
総じて、「性悪主義の部分もちょっと強化しながら、性善主義の良い部分も取り入れて、企業も社会も我々も、良いバランスのなかで生活していくことが大事なのではないかと思う」と語ります。
さらに、長引くコロナ禍を引き合いに、「こんなことが二度と起こらないことを期待したいが、また起こり得るかもしれない。そのときに、今まで我々が経験してきたことをベースに準備しておくことが大事。そして、準備できないものがあれば、短期的ではなく中長期的に解決する。それこそ“ポジティブなマインドセッティング"で