ペナルティーエリア目前での伊東純也へのファウル、「レッド」でも…レフェリー通信
2022/11/28 21:08

 サッカーのFIFAワールドカップ(W杯)では、試合を円滑に進めるレフェリーの役割も重要だ。カタール大会では、女性審判員の参加に加え、前回初めて用いられたビデオ・アシスタントレフェリー(VAR)を進化させた半自動オフサイド技術など新たな試みも多い。元日本サッカー協会審判委員長の松崎康弘氏が、カタール大会のレフェリング事情を解説する。

 日本―コスタリカ戦は悔しい敗戦となった。この試合のレフェリーは、マイケル・オリバーだ。20代でイングランド・プレミアリーグでデビュー。常に落ち着き、選手とのコミュニケーションと「サッカーが求めている」判定を考え、試合の流れを重要視するイングランドらしいレフェリーである。

 この試合も多くの場面で選手を諭すようなやりとりが見られ、フェアなレフェリングで良い試合環境を作っていた。

 とても難しいなと思ったのは70分、ドリブルで突破を図った伊東純也がペナルティーエリア目前で倒されたケース。コスタリカの選手に囲まれ、現場で見ていた時はイエローカードは妥当な判断だと思っていた。

 しかし、試合後に映像を確認してみたところ、伊東のスピードを考えると、DOGSO(決定的な得点の機会の阻止)と見えなくもないため、レッドカードを出すレフェリーがいても不思議ではないと感じた。今回、その場でVARも映像で確認しているのだろうが、VARが介入する「チェック」には至っていない。

 試合における最終の判定は常にレフェリーによってなされる。VARが介入すべきファウルがエリア内か外かの事実判断もなく、「はっきりとした、明白な間違い」でもなく、判定はレフェリーに委ねられた。日本人にとっては、少しでも日本有利の判定を求めたかったところだが、この場面で求められる判定はイエローカードだとマイケルは判断した。

 グループリーグ最終戦はスペインとの対戦。決勝トーナメント進出に向けた正念場だ。レフェリングの結果も含めて、日本の勝利へ導かれるように願う。

https://www.yomiuri.co.jp/sports/soccer/worldcup/20221128-OYT1T50176/