そもそも少子化や人口減少「問題」の本質は、たかだか国内における世代間や世代内での財とサービスの再配分の問題にすぎない。 いたずらに悲観することなく、人口減少、高齢化、経済活動の縮小を前提として、いかなる社会が自由で公平かを構想し続けていけば、 それでよいのだ。

たしかにそれは、人口増加や経済成長を与件とした20世紀型の日本の仕組みとの決別を意味する。痛みも伴うだろう。しかし、 西欧へのフォローアップを目標とし、達成してきた近代日本が、人口減少社会を生きるという課題に、世界で最初に取り組む栄誉を 与えられたとみることもできる。

子どもが増えず、経済が高度に成長しなくても、選択の自由と公平な負担を両立させながら、やっていける仕組みを考えること。 それは、縮 小均衡を目指す「滅びの美学」を確立することにほかならない。少子化対策という言葉はもういらない。

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