スマートフォンやノートPCが禁止されている機密情報施設のような安全な会議室では、隠しボイスレコーダーの存在を検知することが機密会議やプライベートな会話を保護するために不可欠となる。

 しかし、音声録音は基本的に受動的なプロセスであるため、隠れたボイスレコーダーを検出することは容易ではない。レーダーや暗視カメラなどのアクティブセンサーとは異なり、マイクは能動的に周囲に信号を発するのではなく、音によって引き起こされる振動を受動的に測定し、それを電気信号に変換してサンプリングし保存するだけなのである。

 またボイスレコーダーの多くはオフラインで動作するため、無線接続を開始することはない。電池駆動であり、電力線に痕跡も残さない。以上のことから、赤外線、無線通信、電力の痕跡などによる既存の隠しカメラの検出方法は、隠しボイスレコーダーに適用できないことが分かる。

 今回はこの課題に対し、周囲にある隠しボイスレコーダーを検出するシステム「DeHiREC」を提案する。研究者らは、音声録音は受動的であるものの、全ての電子機器は電流の変化により、必然的に電磁波を周囲に放出することに着目。ボイスレコーダー特有の電磁波の痕跡を空中で受信して識別することで隠れたボイスレコーダーの発見を試みる。

 具体的には、記録装置で電磁波信号を取得してパターンを解析することで、電磁波の発生源であるボイスレコーダー内に組み込まれているMSoCs(Mixed signal system-on-chips)のアナログ・デジタル変換器(ADC)モジュールを突き止める。

 だが、このような電磁波の信号は非常にノイズが多く弱いため、正確に検出するのは困難である。この課題を解決するため、まず電磁波信号を積極的に刺激する「EMR Catalyzing」というシステムを設計し、次に検知した電磁波の信号対雑音比(SNR)を向上させる「Adaptive-folding」という信号処理アルゴリズムを提案した。


隠れたボイスレコーダーを検出する装置 不正な音声録音を防ぐ 成功率92%以上 中国チームが発表:Innovative Tech - ITmedia NEWS
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