救済新法は「違法性の判断基準明確に」 河上正二・東大名誉教授
12/1(木) 21:39配信

旧統一教会問題の被害者救済新法が閣議決定されたことに関し、消費者庁の有識者検討会の座長を務めた河上正二・東大名誉教授は「短期間で閣議決定までたどり着いたことは評価する」としつつも、「検討会が取りまとめた意見からは後退している」と述べた。

課題として挙げたのは、法人が個人に寄付を勧誘する際の配慮義務だ。寄付者や家族の生活の維持を困難にすることがないようにする-など3点が盛り込まれたが、「あくまでも配慮義務であり、実際に機能するのか不透明。禁止行為に落とし込むべきだ」と指摘。法人側は「配慮はした」と主張することが可能で、「違法性の判断は裁判官によってはぶれるだろう。基準を明確にしないと使い勝手が悪い」という。

新法では、借金などによる資金調達の要求の禁止も設けられた。河上氏は「当初よりはよくなったが、(禁止となる行為の)天井が高すぎる」と言及。法人側から寄付者への資産調査は禁止し、寄付者の収入から算出した寄付金の制限を設けるべきだとした。

配慮義務により損害賠償請求などが容易になるとの意見もあるが、寄付者側が立証することが必要で、河上氏は「寄付者本人の記憶のみで被害を訴えるのは難しいかもしれない」と問題点を挙げた。

第三者による寄付金の取り消し権は、養育費などを保全するために行使できるようになる。ただ、未成年親族の場合、そもそも取り消し権を行使するハードルが高く、「訴訟支援のため、児童相談所や弁護士会などの連携が求められる」と指摘した。

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