法人税は誰が負担しているか

Randolph氏は、米国が法人税を1%増税した場合、その負担が、どの国の誰に何%転嫁されるかを分析しています(Randolph, W.C., (2006) "International burdens of the corporate income tax," Congressional Budget Office Working Paper Series 2006-09.)。すると、一番負担が大きいのは、米国の労働者であるという結果が示されました。米国の場合、法人税の負担は約70%が労働に、約30%が資本に帰着しています。

さらにシミュレーションによると、米国で法人税を増税した場合、他国に比べて課税後の資本収益率が下がるため、投資先としての魅力が薄れ、資本流出が起こります。そして米国から生産拠点が移った国で雇用機会や労働生産性が高まり、その国の労働者がゲインを得ることになります。つまり法人税増税の直接的な影響を受けるはずもない他国に住む労働者が、回りまわって恩恵を受けるわけです。「風が吹けば桶屋が儲かる」的にいうと、「米国で増税すると日本の労働者が儲かる」ということになります

https://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/15042201.html