なぜ大増税するのに「パチンコ税」の検討すらしないのか。市場規模はコンビニの2倍、政府もマスコミもギャンブル依存ほか危険性を無視するワケ=鈴木傾城

(前略)
パチンコの市場規模はコンビニの2倍

パチンコ市場は、かつては約30兆円規模だったが、2021年の市場規模はいよいよ半分の15兆円も割って、14.6兆円にまで落ち込んでいる。ただ、落ち込みは地方の弱小パチンコホールが淘汰されていく流れであり、大手の寡占が逆に強まっている。

30兆円が14.6兆円になったということは、「もうパチンコ業界は力を喪失している」と勘違いする人も多いが、その認識は完全に間違っている。

たとえば、私たちはコンビニを街のどこにでも目にするのだが、このコンビニ業界の業界規模は約7.6兆円である。パチンコ業界は全盛期の半分ほどに縮小したのだが、それでもコンビニ業界の2倍もの規模がある業界なのだ。

同じくらいの規模の業界を見てみると、鉄鋼業界(13兆9,161億円)、住宅業界(13兆3,565億円)、運送業界(12兆9,179億円)、製薬業界(12兆3,594億円)となっており、同規模の業界を見ても、パチンコ業界の規模の巨大さは突出している。
経済効果のためにパチンコの依存性や危険性は無視

パチスロとパチンコの流行り廃りは波のようにうねっており、現在はパチスロが不振なのだが、4円パチンコが盛り返すという現象が起こっている。パチンコがどこまで盛り返すのか分からないのだが、市場規模を減らしながらもしぶとく生き残り続ける可能性は高い。

パチンコは衰退産業に入っていると言えども、まだ超巨大バケモノ産業なのだ。

そんな状況なのだから、パチンコを利用するユーザーが「パチンコ依存」になって生活破綻したり廃人同様になったところで、そこに意味を見い出す人間はいない。すでに多くの既得権益者がいて、「パチンコがなくなったら困る」と思っている。

パチンコ依存で人生が破滅してしまう人間がいても、それは個人の自己責任とされ、「業界が悪いのではなく、個人が悪い」という話にされていく。業界の利益、あるいは経済のために、パチンコの依存性や危険性は無視され矮小化されている。

そもそも、パチンコ依存に転がり落ちてしまった依存者たちもまた、自分たちが依存しているパチンコがなくなったら困ると思っている。

日本人に仕掛けられている大きな「ワナ」

パチンコ産業の問題は、ユーザーがパチンコ依存症になって人生が破滅するまで金を貢ぐことを前提に事業が成り立っていることだ。こんな産業が放置されていることに危機感を覚えない日本人はどうかしている。

パチンコは、日本人に仕掛けられている大きな「ワナ」である。自分がワナに落ちなくても、自分の大切な家族や、恋人や、友人や、同僚が、そこに落ちて地獄を見ることになるかもしれない。

日本政府は長らくこのような害悪をもたらす業界を放置し続けている。パチンコ業界はその巨大な資金力を豊富に使って与野党構わず多くの議員を取り込み、警察をも抱き込んでいるからだ。

もし政府が何らかのしがらみがあってパチンコ業界を一気に叩きつぶすことができないというのであれば、タバコやアルコールに何重もの税金をかけているのと同じように、パチンコ業界にも何重もの税金をかけて締め上げていけばいいのではないか。

パチンコ税を業界に科し、貸玉料金も消費税だけでなく利用税等を科し、EGM(ギャンブル用電子的ゲーム機械)1台ごとにも使用税等を科す。

さらにパチンコの換金の際に一球いくらかで税金を支払わせるとか、儲けにつき20%の税金を取るなどのアイデアもあるはずだ。(株式投資で得た利益等には、20.315%の税金が課されている)

それを地方の財源にして、たばこ税を引き上げるようにパチンコ関連税も引き上げていけばパチンコ業界を締め上げるのと地方の財源を確保するのと2つのメリットが得られる。

実際、パチンコの換金の時に税金を支払わせて地方税の財源にすることを訴えている市議会議員もいる。

岸田首相は、ここにきて道路を利用したら道路利用税とか、自動車の走行距離税を検討とか、車検の手数料は続々と値上げとか、国民年金の財源を厚生年金の財源で穴埋め検討とか、たばこ税をまた引き上げる(2024年)とか、増税に狂ったようになっている。

そんなに増税したいのであれば、今すぐパチンコ業界から徹底的に絞り取るべきなのである。

https://www.mag2.com/p/money/1263957