■藤井聡太、羽生善治……男性が活躍する一方で、なぜ女性の「棋士」は歴史上1人も誕生していないのか

(抜粋)
以前、このテーマのコラムを書いたことがある。「自分も生理中はパフォーマンスが下がる」や「PMSの間は人格が変わる」などの共感もあれば、「勝てない言い訳」や「他の業界では活躍している」という批判もあった。他の業界において、多くの場合は性差よりも個人差の方が大きいと言われている。

 しかしこれは母数が多いから言えることで、将棋界の現状はそもそもの個人の数があまりにも足りていない。奨励会に入れる棋力の、限られた子が思春期に入り、もしも自分の身体と上手く付き合っていけなくなれば、そこで停滞してしまうのだ。

 当然ながら私は自分の意見が絶対に正しいとは思っていない。男性は男性で、また違った悩みがあるのだろう。ただ、この体験談が、伸び悩んでいる女の子や、その身近で応援している人にとって、何かしらのヒントになれたら良いと思う。

 50年に満たない女性の将棋の歴史は、女流棋士として将棋を指す女性の人数を増やしながら、棋士への歩みを1歩ずつ進めてきた。今回の編入試験の結果は0−3で不合格だったが、新たな歴史を切り開こうとした。かつての小さな里見香奈が先輩の女流棋士に憧れたように、その背中は次の世代への光になるはずだ。

https://bunshun.jp/articles/-/59359