「総合型選抜で入学する学生は、本当に優秀です。一般入試で入る学生より明らかに目的意識が高いですから。読解力や創造力も豊か。大学に合格することが目標でなく、『入学したらこの分野を専門的に学ぼう』という考えをしっかり持っています」

都内の有名私大の関係者が語る。

各大学で「推薦入学者」が重宝されている。文部科学省は21年度から名称変更し、高校の成績や課外活動の実績をもとに大学受験する「推薦入試」を「学校推薦型選抜」に。面接や小論文で適性を判断する「AO入試」を「総合型選抜」へ変えた。今回は便宜上、どちらの形式で受験した学生も「推薦入学者」としたい。

21年度の全国公私立大学の入学者のうち「推薦入学者」が50%を超えた。かつては競争の激しい一般入試に比べ容易に合格できるイメージから、「ザル入試」「お荷物」とまで揶揄された「推薦入学者」。評価激変の背景には、どんな事情があるのだろう。大学ジャーナリストの石渡嶺司氏が語る。

「確かに10年ほど前まで『推薦入学者』は、学力不足を指摘されていました。実際、一部の大学では入学後に授業へついていけずドロップアウトしてしまう学生もいましたから。簡単な面接だけで、学生を確保しようとする大学が多くあったんです。16年度から東京大学が『推薦入学』を導入すると、『東大の劣化が始まる』『最難関大学も終わったな』と批判を受けたほどでした」(以下、発言は石渡氏)

https://news.yahoo.co.jp/articles/2512448adeea91dc1828861163c40ddf895ac709