【ニューヨークからお届けします】

 アメリカでは一人暮らしの成人人口が急増していますが、イギリスでは1人で過ごす若者が増えています。そこで懸念されているのが、現代の伝染病とも言われる「ロンリネス・エピデミック(孤独の伝染病)」です。

 アメリカでは1960年代には一人暮らし家庭が全体の13%だったのに比べ、今では30%に達しています。中でも50歳以上の一人暮らし人口は36%で2000万人、20年前の1500万人から大幅に増えています。なお、日本も一人暮らし家庭が約30%で同様に増加の一途を辿っています。

 最大の原因は高齢化ですが、特に今の50代はこれまでの世代に比べ離婚が多いこと。結婚しない人が増えているのも理由です。その結果、65歳以上の過半数の人が、起きている時間のうち8時間は、1人で過ごしているというデータもあります。

 一方、気になるのは若者たちの変化です。イギリスでは20代の若者が1日に1人で過ごす時間が、10年前に比べ1時間増加。他の世代は変化してないのに比べ突出しています。これはコロナのロックダウンが影響しているのは間違いないでしょう。

 その結果、懸念されるのがロンリネス・エピデミック、孤独の病です。

 一人暮らしだと、うつ病のリスクが4割上昇するという数字もあり、メンタルへの影響は無視できません。

 また社会への影響も小さくありません。心理学者によれば、社会から拒絶されていると感じている人は、恐れや怒りを感じやすくなるといいます。小さな事にも過剰に反応しやすくなり、極端な思想や暴力に走る原因にもなるという学説もあります。コロナと時期を同じくして、陰謀説やそれに伴う暴力が頻発したのも、これで説明がつきます。

 ロンリネス・エピデミック対策としては、一人暮らしの人が共同生活したり、気軽に集まれる施設などが模索されていますが、こうした取り組みは今後さらに急務となりそうです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/b4fd95036c168b4dc0cfedb5eb316637dcd73f6f