入試傾向まるで別物 私大専願者が共通テスト離れ

1月14、15日に実施される大学入学共通テスト。今年は、私大専願者が共通テストを回避する傾向がうかがえることが、大手予備校、河合塾への取材でわかった。前年は数学Ⅰ・Aの平均点が約20点下落する〝数学ショック〟など、難化が目立った。前身の大学入試センター試験と大きく出題傾向が変わったことが要因とみられるという。

今年の共通テストの出願者数は51万2581人(前年比約1万7800人減)。河合塾が昨年10月に行った全統共通テスト模試の分析では、国公立大志望者は前年比97・7%とほぼ同水準だったのに対し、共通テストを利用する私大専願者は93・9%と減少した。河合塾教育研究開発本部の近藤治・主席研究員は「私大専願者の共通テスト離れがうかがえる」と説明する。

近藤さんによると、共通テスト離れが進む理由は、共通テストの内容にある。従来のセンター試験が高校で習得しておくべき基礎的な内容を問うテストだったのに対し、共通テストは私立大の入試傾向とは全く異なる。「センター試験はその後の入試対策にもなったが、共通テストでは、専用の対策が求められる」という。

さらに、問題の難化も共通テストを回避する要因になっているようだ。

今年の共通テストの難度について、通信教育大手のZ会高校指導課長の花岡正司さんは「今年も同程度」と予測する。

花岡さんは共通テストの特徴を「読み解くべき資料も問題数も多く、高い情報処理能力が求められる」と説明。変化の激しい社会を生き抜くために身につけるべき思考力や判断力をはかることを求められているという。「思考力を問う問題は難易度の調整が難しい。今年も同程度の難易度だと構えた方がいい」と話す。

高校1、2年生の共通テスト対策について、花岡さんは「3年生になって慌てて取り組むのではなく、早い段階から基礎を固め、穴がないようにしておくことが重要だ」と指摘。「解法は1つではなく、別解にも目を通し、問題を前に試行錯誤しながら突破力を身につけてほしい」と話していた。

一方、これから本番を迎える受験生への心構えについて、河合塾の近藤さんは「万一自分の得点が低くとも、焦らず周囲の出来を冷静に見極めてほしい」と話していた。前年入試では平均点は大きく下がったが、受験生は比較的冷静に対応。予備校の情報などをもとに、強気の出願をして合格した受験生も少なくなかったという。
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