2023.01.18

父は老いて「ネトウヨ」になった…それは本当に「商業右翼コンテンツにつけ込まれた結果」だったのか? 疑問がよぎった理由
https://gendai.media/articles/-/104407

2023.01.18

高齢化して「ネット右翼」になった父、その原因は「孤独の病」だった…のか? 息子の回顧から見えたこと
https://gendai.media/articles/-/104458


ここに至って、僕は新たな推論を立てた。

それは、当時父とその周囲にいた同世代のコミュニティの中で、「排外的ワード」「リベラル政党への疑義」といったものが、共通言語や雑談上のテーマ、いわば「飲みの席での娯楽的なネタ(話題)」だったのではないかということ。

そして同じ傾向の思想を持つ狭い集団の中で対話するうちに、いわゆるエコーチェンバー現象(同じ価値観を持つ集団の中で対話を重ねることで、価値観や言葉が一般に通じないほどに先鋭化してしまうこと)が父の中にも起きてしまっていたのではないかということだ。

実は、父の晩年に枕もとで見た「月刊Hanada」や「WiLL」といった雑誌は、亡くなったあと書斎には残されていなかった。あれらはどこに行ったのか? 「捨てた」のではなく「友人から借りたものだから返した」のかもしれない。

退職して改めて友人づくりができた父にとって、嫌韓論議は同世代の男性との共通言語(コミュニケーションツール)だったり、娯楽の要素が強かったのではないかというのが、あらたな見地です。寄稿した記事に書いたような喪失感も彼らの共通する感情で、その寂しさに対しての答えを、同世代との中で共有、醸成していったのではないかと感じています。
これは、記事寄稿後にコメント取材に応じた僕が、記者の方に送った文面だ。

狭い同世代コミュニティの中で対話を重ねたことでエコーチェンバーが起き、価値観の基準が右寄りに変質していき、その下地ができたところで商業右派コンテンツに晒される。病によって認知判断力が衰え、卑俗なネット右翼コンテンツの消費にまで至る。

まあまあ、ありえそうな話だ。

であれば、これは「孤独の病」だと思った。