任天堂がゲーム機「スイッチ」を増産へ、24年3月期も強い需要に自信

任天堂が家庭用ゲーム機「スイッチ」について、来期(2024年3月期)も強い需要が続くことに自信を強めている。複数の関係者によると、同社はサプライヤーや組み立てパートナーに対して、来期は前の期比で増産する計画を伝えた。

  スイッチは半導体不足の影響で過去2年以上にわたって供給不足に陥っていたが、同社は足元で増産への自信を深めているもようで、強い需要が少なくともあと1年は続くと確信しているという。同社は来期の生産目標について具体的な数字をまだ伝えておらず、需要が期待するほどでなければ下方修正されることもあり得る。

  今期(23年3月期)について、同社が公表しているスイッチの販売計画は1900万台だが、複数の関係者によると出荷ベースで2100万台程度になる可能性が高い。同社は以前から、スイッチの販売を妨げるのは需要側ではなく、供給側の問題だと主張してきた。

  エレクトロニクス業界における半導体や部品不足の問題はほぼ解消された。ソニーグループも同社のゲーム機「プレイステーション(PS)5」について、23年はより入手しやすくなると自信を示す。

  任天堂がスイッチの今期の目標出荷台数を達成し、来期もそれ以上になるとすれば、累計販売台数が1億5000万台近くとなる。この大台を超えた家庭用ゲーム機はこれまでソニーGのPS2以外に例がない。

  一方、アナリストらは発売から6年が経過していることを理由に出荷台数の減少を予想する。UBS証券の福山健司アナリストは、「昨年末の売上動向や下期の目玉となるようなソフトが発表されていないこと、そして次世代機に関する話がそろそろ期待できることから、来期は1750万台程度に落ちるのではないか」と話した。

  任天堂の広報担当者は特にコメントすることはないと述べた。

  これまでスイッチの需要をけん引してきたのは、新型コロナウイルス禍の最中に発売された「あつまれどうぶつの森」などの主力ゲームだ。

  東洋証券の安田秀樹アナリストは、任天堂が特定のゲームと関連付けた特別仕様のスイッチを投入すれば、販売促進につながるだろうと語る。昨年、同社が人気ゲームの「スプラトゥーン3」をデザインモチーフとした有機ELモデルを発売したところ、売れ行きは好調だったという。

  安田氏は、同社が5月に投入予定の「ゼルダの伝説 ティアーズ オブ ザ キングダム」をテーマにしたスイッチが販売されれば、既存のユーザーがもう1台購入する動機づけになるとみる。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2023-01-20/ROPK8TDWRGG001