クルーズ船集団感染3年 乗客、再発防止へ「政府検証を」

接岸中のクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」と検疫や感染者の搬送などに当たる車両=2020年2月6日、横浜市鶴見区の大黒ふ頭
 新型コロナウイルスの集団感染が発生したクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス」の横浜港停泊から3日で3年となった。政府は昨年11月に国際クルーズ船の受け入れ再開を表明。今年3月から外国船の寄港が控える。「運航会社からは今も説明がなく、政府による検証の動きも進んでいない」と憤るのは、クルーズ船の当時の乗客ら。節目の日、大黒ふ頭で初めて対面での追悼式を開く。

 「情報が何も入らず、いつになったら終わるんだという不安があった。体調を崩した人もたくさんいた。1300室の客室に、それぞれの混乱があった」

 乗客らでつくる「全国連絡会」の共同代表を務める防災士・平沢保人さん(67)=大阪市=は、3年前の状況をそう振り返る。

 クルーズ船には56カ国3700人超が乗船。香港で下船した男性の感染が判明した後、2020年2月に横浜港で停泊した。全員を船内に隔離し、日ごとに陽性者は増えていった。防護服を着込んだ検疫官が行き交う中で待機を強いられ、下船の見通しなど正確な情報は得られなかった。最終的に712人が感染し、13人が死亡した。

 1年後の21年3月、政府や運航会社に対して再発防止策を求めようと、同じく乗客だった元大学教授の千田忠さん(79)=札幌市=らと連絡会を結成。旅客運送約款の内容に問題があるとして、旅行会社の責任や国の監督権限に関する質問書を関係機関に送付するなどの取り組みを進めてきた。昨年2月にはオンラインでの追悼式も実施した。
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