耐震性への疑念、繰り返し浮上 損壊1万2000棟超 トルコ被災地

 【ガジアンテプ時事】トルコの大地震被災地では「建物1万2000棟以上が倒壊ないしは倒壊の危険がある」(トルコ当局)状況で、耐震性の問題を指摘する声が市民から上がっている。

 トルコではこれまでも地震で多数の建物が崩壊するたびに同様の問題が浮上しており、今回も繰り返された形だ。

 南部アダナ県では14階建ての住宅が完全に崩壊し、近隣住民らに衝撃を与えた。
元アダナ市長で土木技師だったアユタチュ・ドゥラク氏は倒壊現場で取材に応じ、「柱のコンクリートと鉄筋の結合が弱く、コンクリートの材質も劣悪だった」と散乱した残骸を手に語った。

 ドゥラク氏によれば、業者が建設コストを低く抑えるため材質が二の次になっている。トルコ当局も安全基準を満たさない建築物について、手数料を支払って特別許可を得ることで行政処分を免除する措置を導入していた経緯がある。
こうした状況で倒壊が相次いだことから、多くの市民は「人災だ。殺人行為に等しい」と政府と業者への非難を強めている。

 一方、今回の地震によりトルコ国内で最も深刻な被害が出ているとみられる南部ハタイ県の中でも、エルジン地区ではほとんど被害が出なかったという。
同地区のエルマスオール区長は地元メディアに「私は一切の違法建築を認めず、ばか正直だと業者の怒りを買った。いま良心に従って本当に良かったと思う」と語った。 

https://news.yahoo.co.jp/articles/be432c4de352531d56a29e9d71877f467e6eb885
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