東京 八王子 精神科病院を捜索 患者に暴行か 看護師を逮捕|NHK 首都圏のニュース
https://www3.nhk.or.jp/shutoken-news/20230215/1000089805.html
東京・八王子市にある精神科の病院の50代の看護師が入院患者の頭を殴ったとして、暴行の疑いで警視庁に逮捕されたことが分かりました。
警視庁はこの看護師を含む4人が去年、患者に暴行した疑いがあるとして15日、病院を捜索していて、詳しい実態について捜査を進めることにしています。
捜査関係者によりますと、逮捕されたのは東京・八王子市にある精神科の病院「滝山病院」の50代の男の看護師で、去年4月、当時入院していた患者の頭を殴ったとして暴行の疑いがもたれています。
関係者からの告発を受けて捜査していたもので、警視庁は15日、逮捕された1人を含む4人の看護師や准看護師が、去年1月から4月にかけて、入院患者の頭や顔を殴るなどの暴行を加えた疑いがあるとして、病院を捜索しました。
今後、詳しい実態について捜査を進めることにしています。
NHKが入手した内部で撮影された映像では医療スタッフとみられる人物がベッドに横たわる患者が声をあげたあと「しゃべるな」などと言い、頭のあたりを殴る様子が写されています。
このほかの映像には別のスタッフが患者の頭を何度もベッドに押さえつける様子や、さらに別のスタッフが声をあげた患者の顔を「うるさい」と言いながら枕でたたく様子なども記録されています。
病院のホームページによりますと八王子市の滝山病院は50年ほど前に開設された民間病院で、おととし東京都に行った報告によりますと288ある病床のうち9割近くが精神科の入院病床となっています。
NHKの取材に対して病院は「事実関係については現段階で答えることができません。警察の捜査には全面的に協力いたします」とコメントしています。
4人の患者のなかには、職員から暴行されたとして、外部に助けを求めていた人もいました。
患者を支援する弁護士によりますと、助けを求めていたのは40代の男性患者で、数年前に別の病院から転院してきたということです。
病院内で撮影された映像では、男性が「もうすぐごはん」と話したところ、医療スタッフと見られる男性が「しゃべるなって言ってんだろ」などと言いながら、頭のあたりを殴る様子が記録されていました。
また、別の時期に撮影された写真には男性の顔に紫色のアザがある様子が写っていたほか、弁護士が去年面会した際に、男性は泣きながら「助けてほしい」と訴えていたということです。
男性は「イジメにあっております。精神的につらいです。助けて下さい」などと手紙に記していました。
滝山病院の元職員は病院内で虐待が疑われる場面を目撃したと証言しています。
数年前まで働いていた元職員は「患者さんがスタッフに物で殴られたと泣いていて、冷やして手当てしたことがある。おむつ交換の時などに背中をドンと強く突くなど、暴言や虐待だと思えることが目の前であった」と話していました。
また元職員は「過去に働いていた病院では常識だと思っていたことが通じなかった。患者が退院したいと訴えても退院させる機能がなく、助けを求められない状態だった」と話しています。
昨年度、東京都に行われた報告によりますと、東京・八王子市にある滝山病院は288ある病床のうち9割近い255床が精神科の入院病床となっていて、統合失調症や認知症のほかアルコールによる精神障害の患者などを受け入れているとしています。
報告時点では、精神科の医師は常勤が3人、非常勤が7人で、看護師や准看護師は常勤が13人で9割にあたる120人が非常勤となっています。
病院のホームページでは、「創立以来、院長の理念である『患者様は家族である』という言葉と共に、職員全員が一丸となり、患者様と接してまいりました」としているほか、治療が難しいとされる合併症の患者を全国から優先的に受け入れていると記されていました。
このホームページは14日から見られなくなっています。
警視庁が捜索を行った東京・八王子市の精神科の病院に対し、都も医療法などに基づき立ち入り検査を始めたことがわかりました。
警視庁は東京・八王子市の精神科の病院「滝山病院」の看護師ら4人が入院患者に対し、暴行を加えた疑いがあるとして15日、病院を捜索しました。
捜索のあと、午後4時すぎ、複数の都の職員が病院の中へ入り、医療法と精神保健福祉法に基づいて病院に対する立ち入り検査を始めています。
都は検査を通じて事実関係について確認したうえで、必要な対応を行うものとみられます。