生活保護基準の引き下げ 相次ぐ行政の敗訴
2023年2月17日
https://mainichi.jp/premier/politics/articles/20230216/pol/00m/010/005000c
「この冬はなるべく暖房を使わないようにしている。寒い日は昼間でも布団をかぶって耐えしのいでいる」
「長年、自炊をしてきたが、最近はガス代が高いので、火を使って調理することをあきらめた。電気代も高いので、電子レンジも処分した」
「食費を浮かすため、週末には片道1時間以上かけて歩き、ホームレス支援団体の炊き出しに通っているが、もともと悪かった足が痛くなって、つらい」
いずれも今年になって私が聞いた生活保護を利用している高齢者の声である。昨年来の食料品やエネルギー価格の高騰は特に低所得者の家計に大きな影響を与えている。
本来、生活保護制度は国が全ての国民に保障する「健康で文化的な最低限度の生活」(憲法25条)を具体化する仕組みであるが、現実にはこの冬、制度利用者が「寒さによる健康被害が起きないレベルの室温の中で暮らす」「温かい食事を取る」といった最低限の健康維持すら困難になってしまっている状況がこれらの声からはうかがわれる。