400年以上の歴史がある同祭は、山車を所有する「山町」と呼ばれる10町が、男児を山車に乗せて市内を巡業する。
これまで山車のご神体を見守る役割は男児が務めてきた。
各町の代表者らで作る「高岡御車山保存会」の会則に男児限定との文言はない。
ただ、山車の上は神聖な場所として女人禁制が慣習になっていた。

この慣習への異論は10年ほど前から上がり始めた。
背景には、子どもの人口減少とジェンダー平等意識の高まりがある。
山町の一つ「守山町」では10年ほど前から小学生以下の子どもが少なくなり、現在、町内には女児1人しかいない。
別の町の子どもを乗せているのが現状だ。

女児を容認する保存会の元会長(80)は「伝統を守り抜くのは現実問題として不可能。時代とともに変化することはやむをえず、
この時代に女性が参加できないのは時代錯誤だ」と主張する。
昨年11月の理事会では、会長権限で会則の申し合わせ事項に「御車山に乗る子は、小学生以下の子どもとする」と追加表記し、
実質的に女児を容認するルールを作った。

これに反対しているのが、同会の現会長(84)だ。
「親戚の子や町外から参加できる子どもはいる。乗る子がいない状態ではない」と強調する。
また、「全国的に女性が祭りに参加する動きが広がっているが、『男の祭り』という昔からの特色を残す考えがあってもいいのではないか」と訴える。

新たに明記された文言については「理事全員の賛成で議決されていないので認められない」と指摘した。
15日の理事会では、再びこの件について話し合い、今後も協議を続けることで同意したという。

全国の祭りでも女性参加を巡る議論は起きている。

 300年以上の歴史を持つ大分県の「日田祇園祭」は2017年、祇園祭本番前に山鉾9基が一堂に会する「集団顔見世」で、
特定の 山鉾 に限って女性が乗ることを認めた。

 日本三大祭りの一つ京都の「祇園祭」は、大型の山鉾12台のうち9台は女性も登ることができるが、3台は今も女人禁制で、対応は分かれている。
公益財団法人「祇園祭山鉾連合会」の山口敬一事務局長は「伝統を守りたい人と、時代に合わせて変えたい人の考えはそれぞれ尊重している。
難しい問題なので、祭りに関わるすべての人と時間をかけて協議していきたい」と話している。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20230215-OYT1T50329/2/