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伝統的に男性中心だったオーケストラ界に風穴を開けようと、昨年、女性の楽団員だけから成る「東京女子管弦楽団」が誕生しました。設立したバイオリニストの福元麻理恵さん(42)が長い間、心の中にあったという問題意識を形にしたもの。その思いとは――。

子どものころからずっと不思議でした。音楽大学で学ぶ人は圧倒的に女性が多いのに、なぜオーケストラの楽団員では逆転するのか。

 演奏活動のかたわら、コンサートに演奏家を派遣したり、音響設備を貸し出したりする会社を経営してきましたが、新型コロナの感染拡大が始まった2020年3月、仕事の99%がキャンセルになり、立ち止まって考える時間ができました。

 その後、演奏活動が少しずつ再開される中で、これまでの経験を振り返り、これから何をしたいか考えた時、以前からあった問題意識を思い出しました。
20世紀の終わりまで女人禁制

 音大の学生は女性が72.7%、男性が23.3%です。国内33のオーケストラの楽団員の女性比率は44.8%と、近年かなり改善され、同数に近づきつつありますが、NHK交響楽団は女性が22.2%、読売交響楽団が25.3%と、名門と呼ばれる交響楽団ほど女性比率が下がります(データはいずれも「表現の現場調査団」の「ジェンダーバランス白書2022」より)。欧米も同じ傾向で、たとえばベルリン・フィルの女性比率は17.2%です。

 クラシック音楽においては、女性はかつて、人前で演奏することが「はしたない」とされた時代が長く続き、欧米の著名な交響楽団は20世紀の終わりまで女人禁制でした。「女性は技術が低い」という偏見はそういった歴史からも根強く残っています。