亀田総合病院感染症科部長
地域感染症疫学・予防センター長 細川直登さん

 マスクについては「着ける、着けない」の二元論で語らず、「必要な時には着ける」と考えてほしい。

 必要な時とは「感染しているか把握できない人と、飛沫(ひまつ)が届く二メートル以内で会話をする際、もしくは偶然そのような機会が起きる可能性がある時」です。

 新型コロナは発症前からも、無症状でも人に感染する特徴があり、インフルエンザのように「せきをする人はマスクを」だけでは防げません。自分が感染者かもしれないからマスクで飛沫が飛ぶのを防ぐのが医学的な理由。感染者も感染してない人も全員マスクをするのがリスクを一番減らす良い方法です。

 人けのない浜辺を散歩するのにマスクは不要。スーパー店内や人混みでは、全員マスクでリスクが下がる。病院などでは引き続きマスク着用が継続される。

 防御のレベルは、流行状況に合わせて上げ下げすることになる。岸田首相がマスクを外すと言い出した第八波の真っ最中よりは、今の方が相対的に安全だが、「周囲に感染者が存在しないほど流行が収まればマスクを外しても安全」と考えてよいと思います。