破綻の戦犯はベンチャーキャピタルか監査法人KPMGか

欧米メディアでは、米銀シリコンバレーバンク(SVB)破綻の過程に関与した「戦犯」への厳しい追及が始まっている。

まず、目を引く見出しがKPMG。同社がSVB監査結果を問題なしと発表した14日後に同行は破綻した。同監査法人はシグネチャー・バンクも担当。やはり監査後、特段の指摘もないまま、11日後に同行も破綻した。どちらも、2022年度の監査なのだが、それでも、リスクについての言及程度はあってしかるべきだ、との論調だ。
KPMGは、顧客の機密保護義務により、具体的事例についてコメントは出来ないが、一般論として、監査後に起きたことについて責任は負いかねるとの声明を出している。更に、KPMGは、ファースト・リパブリック・バンクも監査していた。

KPMGの視点では、どちらに転んでも負けの状況であった。監査結果で警告を発すれば、取り付けの引き金を引くか、騒動をエスカレートさせたであろう。

今後、金融監督当局の判断が注目される。

次の戦犯は、ベンチャーキャピタル(VC)。一部のVCが、SVBから手を引くようにアドバイスしたと批判されている。増資計画にも乗らないほうが賢明と忠告したことが、SNSで瞬時に拡散され、取り付けも雪だるま式に増えてしまった。日本流にいえば、メイン・バンクのように、色々世話にもなったパートナーを裏切り、結果的に、自らも大きな手傷を負うことになった、というわけだ。

批判の的になったVCは、今のうちに預金を引き出しておけ、とも言えず、だからといって、預金を動かすな、とも言い難い切羽詰まった状況であった、と語る。取り付け騒動を扇動する意図はなく、ただ、出遅れて最後に取り残されるリスクを指摘しただけ、と言う。

一方、今回はSVBの運用姿勢に問題があったわけで、自業自得との見方もある。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL142A90U3A310C2000000/