兵士の母や恋人への手紙までいちいち検閲を行うなど自国兵士への防諜には細心の注意を払っていた日本軍当局であったが、前線から重要な情報が垂れ流し状態になっているとは殆ど気付いていなかった。これらの事は、日本軍の情報に対する危機管理のあいまいさが指摘されよう。本書によると日本兵捕虜には下記の様な特徴がみられた。

① 捕虜になる前に自決せよという命令から、万一、捕虜になった場合のことを想定した教育がなされていない。

② 日記や命令書等を身に付けて出撃するという情報管理意識の欠如。

③ 捕虜になったら、家族や部隊の仲間に知られるのが恥だとし、日本には帰れないという体面を気にする精神。

④ アメリカ軍から厚遇が与えられると、たちまち軍事機密を喋り出す捕虜。

勿論、すべての兵士がこの様な有様だというわけではないが、日本軍における「情報軽視」の姿勢を如実に示していると言えるであろう。

https://gssc.dld.nihon-u.ac.jp/e-magazine/020/book1.htm