放送法をめぐる安倍政権下の行政文書をめぐり、野党は16日の衆院本会議で、政治的公平性について追加された解釈を「安倍政権の10年の負の遺産」と批判し、解釈の修正を求めた。岸田文雄首相は「指摘はあたらない」と反論。放送行政は適切に運営されているとの考えを示した。

 安倍政権は2015年5月の高市早苗総務相の国会答弁で、政治的公平性をめぐり解釈を追加。「放送事業者の番組全体をみて判断する」というそれまでの解釈から、「一つの番組のみでも、極端な場合は政治的公平を確保しているとは認められない」と踏み込んだ。総務省の行政文書には、首相官邸側の働きかけでこの解釈の追加に至る過程が記されている。

 立憲民主党の井坂信彦氏は16日の衆院本会議で、この文書で「意に沿わない番組を力で封じ込める姿勢が生々しく明らかになった」と指摘した。「NHKや民放に政治的圧力をかけ続けている」とし、解釈の修正などを求めた。

 これに対し岸田首相は、高市氏の答弁は従来の解釈の「補充」だと重ねて説明。圧力の存在を否定し、「安倍総理の10年の負の遺産との指摘はあたらない」と述べた。

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