「植田新総裁の日銀が破綻する確率は100%」との声も ワタミ成績優秀スタッフが語った秘訣
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藤巻さんと一致した見解は、新総裁に打つ手はないということだ。新総裁が打てる手は「金利を上げる」ことしかない。世界的投資家ジム・ロジャーズ氏も最新刊「捨てられる日本」(SB新書)の中でそう指摘し、金利負担が増え、日本は破綻に近づくと警告している。

長期金利が0・25%から0・5%に上昇しただけで国債の含み損が拡大し複数の地方銀行で経営が傾きつつあると藤巻さんはいう。新総裁が、もし長期金利を大きく引き上げれば、金融機関は破綻し、中小企業は倒産しかねない。何より、国債を大量に保有する日銀自体も債務超過に陥り、円の信頼を失う危機になる。新総裁にいくら期待しても「何もできない」のが現実だ。

次期総裁の大本命とみられた日銀生え抜きの雨宮正佳副総裁だけでなく、ほかの日銀出身の有力候補も総裁ポストを引き受けなかった。藤巻さんは次の日銀総裁について「火中の栗」どころか「火中の時限爆弾」を拾う役割だと表現した。つまり、日銀の現状を最もよく知る日銀出身者ほど「火中の時限爆弾」から逃げたということだろう。

こうした厳しい見通しのなか、なぜ植田氏は日銀総裁を引き受けたのか。植田氏は先月行われた国会の答弁で、長期金利と短期金利の誘導目標を操作するイールドカーブ・コントロール(YCC)の正常化に言及した。YCC撤廃なら当然、長期金利は高騰する。藤巻さんの見立てでは「(植田氏は)YCCをやめても長期金利の上昇は1%程度と甘くみて、総裁を引き受けたのではないか」とのことだ。なぜ甘く見積もったのかは「学者ゆえの純粋さ」「机上の学問だけで市場の怖さを知らない」と手厳しい。ちなみに、植田氏が総裁の間に日銀が破綻する確率を、藤巻さんは「私は100%だと思っている」と明言した。

そうした中、ワタミの幹部を集めて来期の戦略方針を共有した。4月以降も物価高に苦しむ一年だと想定し、強調したのは「人の充実」だ。先日、営業成績が優秀なワタミの宅食の女性スタッフに秘訣を聞くと「お弁当を好きになってもらう前に、お客さまに私を好きになってもらうことを心がけている」と答えた。ワタミには「人が差別化となり、コツコツと売り上げを積み上げる事業のみ参入する」という理念がある。理念の体現に感謝した。

一方の日銀の理念は「物価の安定を図る」ことだ。黒田総裁は一度も2%の安定的な物価上昇率を実現できなかった。異次元の金融緩和は正しかったのか、理念に照らし合わし検証が必要だ。 (ワタミ代表取締役会長兼社長・渡邉美樹)